NTT株価が下落して見える理由と最新見通しをわかりやすく解説
時点で、NTT株は「株価が下落している」「思ったほど上がらない」と感じる投資家が少なくありません。実際には大規模な自社株買いや配当も継続している一方で、業績の伸び悩みや規制・競争などが重なり、株価が上値の重い展開になっています。本記事では、NTT株の下落（低迷）要因と、最新の見通し・チェックポイントをやさしく整理します。
NTT株価が「下落しているように見える」背景とは？
まず押さえたいのが、NTT株は大規模な株式分割を経て、1株あたりの株価水準が大きく変わっている点です。そのため、分割前の感覚でチャートを眺めると「大きく下がった」と錯覚しやすくなります。
一方で、2024年以降は決算で減益見通しが出たタイミングなどに短期的な売りが出ており、「ジリジリとした下落」や「戻りの鈍さ」が意識されているのも事実です。2025年3月期は、第3四半期累計で最終利益が前年同期比で約16％減となるなど、利益成長が一服していることも株価の重しになっています。
この章の要点
- 株式分割の影響で、見た目の株価水準が大きく変わっている
- 減益見通しの公表などをきっかけに、短期的な売りが出た局面がある
- 利益成長の鈍化が、株価の上値を抑える要因の1つになっている
直近決算と業績トレンドが株価に与えている影響
2025年3月期の業績は、増収ながら減益基調という見方が多くなっています。2025年3月期第3四半期（4〜12月）累計の最終利益は前年同期比で約16％減となり、通期計画に対する進捗も過去平均を下回っています。
背景には、以下のような要因が組み合わさっています。
| 要因 | 内容 | 株価への典型的な影響イメージ |
|---|---|---|
| モバイル収益の伸び悩み | 携帯料金の値下げ競争やキャンペーン負担で利益率が圧迫 | 中長期の収益成長に対する不安から、評価が慎重になる |
| 設備投資負担の増加 | 5G/6G・光回線・クラウドなどへの大型投資を継続 | 短期的なフリーキャッシュフローが圧迫され、割安感だけでは買われにくい |
| 一時要因の剥落 | 前期の株式売却益など「特別要因」が今期に乗っていない | 利益の減少が見かけ上大きく見え、ネガティブに受け取られやすい |
| コンセンサス予想の下方修正 | アナリストの利益予想がじわじわと下振れ傾向 | 「サプライズ期待」が薄れ、株価のモメンタムが弱くなりやすい |
こうした要因から、「業績は安定しているが、高成長とは言いにくい」という評価が強まり、株価が上がりにくい状況が続いていると考えられます。
この章の要点
- 2025年3月期は増収ながら減益基調で、利益成長の鈍化が意識されている
- 設備投資負担や一時要因剥落など、短期的に利益を押し下げる要素がある
- アナリスト予想の下方修正も、株価の上値を重くしている
投資だけでなく、ふるさと納税も活用して家計全体のバランスを整えてみませんか？
株価を押し下げている主な構造要因
NTT株価の下落・低迷には、短期的な決算だけでなく、構造的な要因も関係しています。代表的なものを整理すると次のとおりです。
- 通信料金競争の長期化：KDDI・ソフトバンク・楽天モバイルなどとの価格競争が続き、政府主導の料金是正もあって収益性の改善が進みにくい。
- NTT法改正・政府保有株売却への思惑：NTT法の改正議論が進み、将来的な規制緩和や政府保有株売却の可能性が取り沙汰されている。投資家には「株式の売り圧力になるのでは」という不安もある。
- 巨額投資とキャッシュフローへの懸念：IOWN構想や次世代ネットワーク、クラウドなど成長分野への投資が必要な一方で、短期的なフリーキャッシュフローの圧迫が警戒されている。
これらは一朝一夕で解決する性質のものではないため、「配当や自社株買いで下支えされるが、強い上昇トレンドにはなりにくい」という評価につながりやすくなります。
この章の要点
- 通信料金競争と政策リスクが、中期的な利益予想を抑えている
- NTT法改正・政府保有株売却への思惑が、株価の不透明感を高めている
- 成長投資とキャッシュフローのバランスが、投資家の注目ポイントになっている
株価だけでなく、ふるさと納税で「配当」のように返礼品を受け取りつつ地域を応援するのも一つの選択肢です。
自社株買い・配当と最新コンセンサスから見る見通し
一方で、NTTは株主還元にも積極的です。2025年5月には、発行済み株式の約1.81％に相当する15億株・上限2000億円の自社株買いを決議し、10〜11月には実際に数億株規模の買い付けを進めています。
アナリストのコンセンサスでは、2025年12月時点で投資格付は「買い」寄り、平均目標株価も現在値から十数％程度の上昇余地があるとする見方が多くなっています。ただし、これはあくまで現時点の予想であり、業績や政策の変化次第で上下する可能性があります。
この章の要点
- 大規模な自社株買いと安定配当が株価の下支え要因になっている
- アナリストコンセンサスは現状「買い」寄りだが、あくまで予想であり変動しうる
- 株価の上昇には、利益成長や政策不透明感の解消がカギになる
個人投資家がNTT株を見るときのチェックポイント
個人投資家がNTT株を検討する際は、「配当・自社株買いによる株主還元」と「業績・規制・競争要因」の両方をバランスよく見ることが重要です。
- 自分が重視するのは「安定配当」か「株価値上がり（キャピタルゲイン）」かを明確にする
- 決算や説明会資料で、中長期の投資計画とキャッシュフローの説明を確認する
- NTT法など政策面のニュースと、競合他社との比較もあわせてチェックする
そのうえで、ポートフォリオ全体の中でNTT株にどの程度ウエートを割くかを決めると、値動きに振り回されにくくなります。
この章の要点
- 株主還元と成長性のバランスを自分なりに評価することが大切
- 政策・競争環境のニュースは定期的にチェックする
- ポートフォリオ全体でリスクを分散し、NTT株に偏りすぎないようにする
投資戦略を考えるのと同時に、ふるさと納税で賢く節税しながら家計全体のキャッシュフローも見直してみましょう。