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卓球混合団体W杯2025 日本代表が苦戦した理由を整理して解説

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卓球混合団体W杯2025 日本代表が苦戦した理由を整理して解説

卓球混合団体W杯2025(成都)で、日本代表は多くの試合で快勝しつつも、インド戦やフランス戦など「苦戦」と表現される場面も経験しました。この記事では、2025-12-06時点の情報をもとに、日本代表がなぜ苦戦したのかを試合内容・フォーマット・環境の3つの軸から解説します。

日本代表が苦戦した主な試合一覧

まずはスコアと報道内容から、「相手に迫られた試合」「逆転負けを喫した試合」を整理します。

ステージ 対戦相手 スコア 苦戦ポイント
ステージ1 インド 8–4 女子シングルスで金星を許すなど、終盤まで接戦と報じられた
ステージ2 フランス 7–8 1–5リードからまさかの逆転負け
ステージ2 中国 5–8 王者中国に対し善戦するも、要所で突き放された(報道ベース)
  • スコアだけでは見えないが、インド戦・フランス戦・中国戦で顕著な「苦戦要素」があった
  • いずれも「世界トップレベルのエースを擁するチーム」である点が共通している
  • フォーマット・戦術・メンタルの3要素が複雑に絡んでいる

理由① 新フォーマット特有の難しさ

混合団体W杯は、従来の団体戦とは異なる「15ゲーム・8先取」フォーマットで行われています。

フォーマットが生む“流れの揺れ”

  • 1試合ごとが3ゲーム先取ではなく、チーム全体で8ゲーム先取のため、途中での逆転・再逆転が頻発する
  • 混合ダブルス→女子シングルス→男子シングルス→ダブルス2本という順序のため、序盤で想定外の黒星が出ると、その後のオーダー全体に影響が及ぶ
  • ゲーム数が多いため、「1ゲーム差」でのメンタルの揺れが結果に直結しやすい

特に、日本は混合ダブルスと女子シングルスに重点を置いた構成を取ることが多く、ここで取りこぼしが出ると、男子シングルスとダブルスで取り返さなければならないというプレッシャーがかかります。インド戦では女子シングルスでの黒星が、その後の展開を難しくしたと考えられます。

理由② 個人戦ではなく“ミックスチーム”ならではの相性

インド戦:マニカ・バトラの特殊スタイルに苦戦

インド戦では、マニカ・バトラが伊藤美誠から自身初の勝利を挙げたことがインド側メディアでも大きく報じられました。

  • バトラは独特のラバー構成と変化の大きい回転で知られ、日本側が「やりにくい選手」の典型
  • 短い3ゲーム勝負の中で対応しきれず、1点を落としたことでチーム全体の流れも一時的にインド寄りになった
  • ただし、その後の男子シングルス・ダブルスで立て直せた点は、日本の総合力の高さを示している

フランス戦:ルブラン兄弟への対応が後手に回った

フランス戦では、フェリックス・ルブランが男子シングルスで張本智和にストレート勝ちし、その後の男子ダブルスでも兄アレクシとのペアで勢いを保ったことが逆転劇の大きな要因となりました。

  • 男子シングルスで「勝ち計算」の張本が敗れたことで、一気に流れがフランス側へ
  • 男子ダブルスでもルブラン兄弟の速攻卓球に押され、守勢に回る展開が続いた
  • 相手の“コンボ”を想定したうえでのオーダー・対策が不十分だった可能性がある

中国戦:世界最強チームとの地力勝負

中国はミックス団体でも世界最強クラスの戦力を誇り、ステージ2でも全勝をキープしています。 日本は5–8と健闘しながらも、要所のラリーで取り切れなかったことがスコア差につながりました。

  • 中国は男女とも世界ランキング1桁の選手を複数擁し、どこを当てても「格上」との対戦になりやすい
  • 日本は特に女子シングルス・ダブルスでは十分渡り合えているが、男子シングルス・ダブルスでの取りこぼしが痛かったと推測される
  • アウェー環境での“ホーム中国”との対戦というメンタル要因も無視できない

理由③ アウェー環境・連戦・メンタルの負荷

今大会は中国・成都で開催されており、観客の多くは中国やアジア勢を応援するスタンスです。中国メディアの報道では、中国戦や他カードでの熱狂的な雰囲気が紹介されており、日本にとっては完全アウェーに近い空気の中で戦っていることがうかがえます。

連戦形式によるコンディション管理の難しさ

  • 8日間連続で行われる大会スケジュールの中で、ほぼ毎日1〜2試合を戦う過密日程
  • ステージ1からステージ2へ結果が持ち越されるため、序盤戦から「全力で取りに行かざるを得ない」構造になっている
  • その結果、終盤のフランス戦などでは「肉体的・精神的な疲労」がパフォーマンスに影響した可能性がある

リード時のメンタルマネジメント

フランス戦のように、大きくリードしたあとに逆転される展開は、メンタル面でのコントロールの難しさを象徴しています。

  • 1–5のリードで無意識に「勝ちを意識してしまう」ことで、ラリーの質がわずかに落ちる
  • 相手がリスクを取って強打してくる中で、「守りに入る」時間が長くなる
  • ベンチワークとして、タイムアウトやメンバーへの声掛けで流れを断ち切る必要があった

理由④ 世界全体のレベルアップと“日本包囲網”

国際卓球連盟や各種メディアの論調を見ると、混合団体W杯は「LA28に向けた世界各国の総力戦」と位置づけられており、インド・フランス・クロアチアなど多くの国が著しく力を伸ばしています。

  • インドは女子シングルスのバトラ、男子のエース陣を軸に「ジャイアントキラー」として台頭
  • フランスはルブラン兄弟やパバデを中心に、ヨーロッパ屈指のミックスチームを形成
  • クロアチアや香港などもステージ2で激戦を演じており、「日本=挑戦される側」という構図が強まっている

苦戦をプラスに変えるための今後のポイント

  • フォーマットへの最適化:混合ダブルスでの取りこぼしに備え、「女子シングルス・男子シングルスでのリカバリー」を前提にしたオーダープランを複数用意する
  • 相性対策の強化:バトラやルブラン兄弟のような“クセのあるトップ選手”に対する専用の準備(映像研究・模擬マッチ)を増やす
  • メンタル・環境対応:大きくリードした場面やアウェーのブーイングの中でも、ゲームプランを徹底できるメンタルトレーニングとベンチワークの強化

日本代表はすでにステージ2を突破し、中国・ドイツ・韓国とともに準決勝へ進出しています(2025-12-06時点)。 ここまでの「苦戦の理由」を正しく分析し、ノックアウトステージで修正できるかどうかが、最終的なメダルの色を決めることになるでしょう。