卓球混合団体W杯2025 ブーイングが止まなかった場面は本当にあったのか

この記事の基準日は2025-12-07です。2025年11月30日〜12月7日に中国・成都で開催された「ITTF Mixed Team World Cup 2025（卓球混合団体W杯2025）」は、世界16チームが集う混合団体戦として行われました。会場は四川省体育館で、中国が2023〜2027年まで5年連続でホストを務めることが決まっており、「完全アウェー」の空気の中で戦うチームも多かったとされています。

大会概要と会場の雰囲気

まず、混合団体W杯2025の基本的な情報を整理しておきます。大会は男女混合のチームが出場し、最大5マッチ・先に8ゲームを取ったチームが勝利する独自ルールで実施されました。

要点

• 大会は成都・四川省体育館で行われ、中国がホスト国として連続開催している
• 16チームが出場する男女混合団体戦で、8ゲーム先取の特殊なルール
• 会場の盛り上げ演出やホームの声援が、アウェーチームには強いプレッシャーになり得る

「ブーイングが止まなかった」と言われる典型的な場面

具体的な試合や時間帯については、公式に「この場面でブーイングが続いた」と明文化されているわけではありません。ここでは、国際大会でブーイングが起こりやすい代表的な場面を整理し、混合団体W杯2025でも話題になったとされるケースを一般的なパターンとして紹介します。

サーブ前後の静寂が破られる瞬間

卓球では通常、サーブ前後の一瞬は会場が静かになります。このタイミングで相手選手に向けてヤジやブーイングが飛ぶと、選手は「集中を削がれた」と感じやすく、「ブーイングが止まらない」という印象を強く持つ原因になります。

大逆転や番狂わせが起きた直後

ホームチームがリードを広げた場面、あるいはアウェーチームがリードした直後は、歓声とブーイングが交錯しやすい時間帯です。特に、格上とみなされるチームがリードされた場面では、観客の感情も激しく揺れ動きます。

SNSで切り取られた「ブーイング映像」

実際の会場では一時的なブーイングだったとしても、その部分だけが動画で拡散されると、「試合中ずっとブーイングが止まらなかった」という印象に変わってしまうことがあります。日本のネット上では「敬意の欠如」という言葉がトレンド入りし、張本智和選手を巡る扱いに対する記事も掲載されましたが、その多くは限られた場面を元に議論している点に注意が必要です。

要点

• サーブ前後や大きな得点変動の直後は、ブーイングが生まれやすい時間帯
• 短時間の出来事でも、動画で切り取られると「ずっと続いていた」ように見えやすい
• ネット上の議論は、一部の場面が強調されている可能性も念頭に置く必要がある

ブーイングはどこからが問題になるのか

ホームチームを後押しする歓声や、相手のミスに思わず漏れるため息自体は、多くのスポーツで見られます。一方で、以下のような行為は「スポーツマンシップに反する」として明確な問題行動とされやすいものです。

• ラリー中に故意に大声を出すなど、明らかなプレー妨害
• 特定の選手や国籍を侮辱する差別的な言葉
• 判定に対する長時間のブーイングや物の投げ込み

こうした行為は、主催者や審判が注意・退場といった措置を取る対象になります。混合団体W杯2025では、少なくとも公表ベースでは観客退場などの重大な制裁は確認されておらず、「グレーゾーンの応援」が問題視されたと考えるのが妥当でしょう。

要点

• ブーイングそのものが即NGとは限らないが、内容やタイミングによっては問題になる
• 差別的発言やプレー妨害は、明確にルール違反として扱われ得る
• 今大会で議論されたのは、ルール違反とまでは言い切れない「グレーな応援」が中心

ブーイングとどう向き合うか｜選手・運営・ファンの視点

選手にとっての対処法

選手側は、ブーイングを完全になくすことはできません。そのため、「ブーイング＝自分への期待の裏返し」と意味づけを変えたり、サーブ前に深呼吸やルーティンを行うなどして、外的な音よりも自分のリズムに意識を向ける工夫が必要になります。

運営側が取るべき対策

主催者は、試合前のアナウンスやビジョンで「差別的な発言やプレー妨害の禁止」を明確に示し、問題行為には段階的に注意・退場を行う姿勢を示すことが求められます。これにより、観客も「どこまでが許容範囲か」を理解しやすくなります。

ファンとしてできること

視聴者やファンは、怒りの矛先を「国全体」「観客全体」に向けるのではなく、具体的な行為そのものに向けることが大切です。「こういう応援はやめるべき」「運営はここを改善してほしい」といった形で、建設的に意見を発信することが、結果的に選手を守ることにつながります。

要点

• 選手はルーティンや意味づけの工夫で、ブーイングと距離を取る必要がある
• 運営は、問題となる応援スタイルの線引きを明確に打ち出すことが重要
• ファンは、国や民族ではなく「具体的な行為や制度」に焦点を当てて議論したい

本記事では、特定の国や個人を断定的に非難するのではなく、「ブーイングが止まらない」と感じられた背景や構造を整理しました。実際の会場では、フェアに拍手を送っていた観客も多くいたはずであり、その存在も忘れずに大会全体を振り返ることが大切です。