残クレと住宅ローンは併用できる?仕組みと審査基準をやさしく解説
基準日:2025-12-10。車を「残クレ(残価設定型クレジット/残価設定ローン)」で購入している人が、マイホームの住宅ローンを組もうとしたとき、「併用しても審査は通るの?」「不利になる?」と不安に感じるケースが増えています。
この記事では、残クレの基本/住宅ローンと併用する際の考え方/審査でチェックされるポイントを整理しつつ、注意したい点を解説します(具体的な可否は金融機関ごとに異なるため、最終的には各金融機関に確認してください)。
そもそも「残クレ」とは?住宅ローンとの違い
残クレは、車の購入でよく使われる「残価設定型クレジット(残価設定ローン)」の略称です。一般のマイカーローン・住宅ローンと比べた違いを整理するとイメージしやすくなります。
| 項目 | 残クレ(残価設定型クレジット) | 住宅ローン |
|---|---|---|
| 対象 | 自動車(新車・一部中古車) | 住宅・土地・リフォーム費用など |
| 返済の仕組み | 3〜5年程度の短期で、将来の下取り価格(残価)をあらかじめ差し引いた分だけを毎月返済。契約満了時に残価をどうするか選択。 | 20〜35年程度の長期で、借入額全体を分割返済(元利均等・元金均等など)。 |
| 契約満了時 | ①残価を一括払いして所有継続、②再ローン(再クレジット)、③車を返却して乗り換え、などから選ぶ。 | ローン完済後、住宅の所有権はそのまま継続。特別な手続きは不要のことが多い。 |
| 金利水準 | 一般的なマイカーローンよりやや高いこともある。 | 担保が住宅のため、個人向けローンとしては比較的低金利の部類。 |
ポイント
- 残クレは「月々の負担を軽く見せる代わりに、最後に残価がドンと残る」仕組みです。
- 住宅ローンは長期・低金利・大口、残クレは短期・中金利・中口というイメージを持つと分かりやすくなります。
残クレ利用中でも住宅ローンは併用できる?
結論から言うと、「残クレがあっても住宅ローンを組むこと自体は可能なケースが多い」とされています。ただし、審査では他の借入と同様に返済負担率などに組み込まれ、借入可能額が小さくなる・審査に通りにくくなる可能性があります。
| 観点 | 一般的な考え方 |
|---|---|
| 併用の可否 | 住宅ローンとマイカーローン(残クレ含む)の併用自体は、多くの金融機関で可能とされている。 |
| 審査での扱い | 残クレの「毎月返済額」や「残価部分の債務」が、年収に対する返済負担率計算に含まれる。 |
| リスク評価 | 契約満了時に残価一括払い・再ローン・返却などの選択が必要なため、「将来キャッシュフローに影響し得る負債」として見られる。 |
注意点
- 残クレの残債が大きい・契約期間が長く残っているほど、住宅ローンの借入余力は圧迫されやすくなります。
- 具体的な扱い(残価部分をどう見るか)は金融機関ごとに異なるため、必ず事前に窓口で確認しましょう。
審査で見られる「返済負担率」と残クレの影響
住宅ローン審査では、年収に対してどのくらい借入返済に回しているかを示す返済負担率が重要です。残クレもこの計算に含まれるため、条件によっては審査が厳しくなります。
| 項目 | 概要 | 残クレがある場合の影響 |
|---|---|---|
| 返済負担率とは | 「年間のすべての借入返済額 ÷ 年収」で算出。目安は30〜35%以内とされることが多い。 | 残クレの月々返済額も年間返済額に加算されるため、負担率が上がり、住宅ローンの借入可能額が減る傾向があります。 |
| 残価部分の扱い | 金融機関によって、①月々返済額のみをカウント、②残価総額も住宅ローンの借入額に合算して判断、の2パターンがあると解説されています。 | ②のように残価総額も考慮する場合、実質的な負債額が大きく見なされるため、審査に不利になりやすくなります。 |
| 他の借入との合算 | カードローン・リボ払い・その他ローンも含め、すべての借入が合算される。 | 残クレ以外の借入が多いほど、住宅ローンの審査は厳しくなるため、事前に整理しておくことが重要です。 |
返済負担率で意識したいこと
- 「通るかどうか」だけでなく、生活に無理のない返済比率かも自分の基準で考えることが大切です。
- 不安な場合は、住宅ローン専門の相談窓口やファイナンシャルプランナーなどに、現状の借入状況を整理してもらうのも一案です。
残クレと住宅ローンを「まとめる」ことはできる?
「残クレも含めて一本化してスッキリさせたい」というニーズもありますが、住宅ローンの中に車の残クレを直接組み込むことは基本的にできないとする金融機関が多いです。
| パターン | 概要 | 注意点 |
|---|---|---|
| 住宅ローンに組み込む | 住宅ローンで残クレもまとめて借りるイメージ。 | 住宅ローンは資金使途が住宅関連に限定されており、車の残債を直接含めることは原則不可と説明されることが多いです。 |
| おまとめローンを利用 | 別のローン(おまとめローン)で残クレや他の借入を一本化する方法。 | 審査では収入・信用情報・他の借入残高・延滞歴などが厳しくチェックされ、条件によっては金利が上がることもあります。 |
| 残クレを完済・解約する | 住宅ローン申込前に残クレを繰上返済し、車を買い替える/所有し直す。 | 手元資金やライフプランに影響するため、無理のない範囲で検討する必要があります。 |
まとめの考え方
- 「一本化すれば必ず得」ではなく、金利・返済期間・総返済額・生活の余裕を総合的に比較することが重要です。
- おまとめローンも含めて、複数の金融機関のシミュレーションを取ってから判断するのがおすすめです。
残クレと住宅ローンを併用するときのチェックリスト
最後に、残クレと住宅ローンの併用を考える際に確認しておきたいポイントをチェックリスト形式でまとめます。
| チェック項目 | 確認したい内容 |
|---|---|
| 残クレの契約内容 | 残期間・月々の支払額・残価額(満了時にいくら残るか)を把握しておく。 |
| 年収と他の借入 | カードローン・リボ払いなども含めた年間返済額をざっくり計算し、返済負担率のイメージを持っておく。 |
| 住宅ローンの審査基準 | 検討中の金融機関に、「残価設定ローンの扱い」「返済負担率の上限」を事前に確認する。 |
| 将来の車のプラン | 契約満了時に車をどうするつもりか(乗り続ける・返却する・買い替える)を整理し、将来の支出を見通す。 |
無理のない計画づくりのために
- 住宅は長期、車は比較的短期のローンになるため、長期の家計シミュレーションが重要です。
- 迷ったときは、住宅ローン担当者や中立的な相談窓口に、具体的な数字を持ち込んで相談すると安心です。
