地震速報と最大震度・体感に差が出るのはなぜ?仕組みとズレる理由を解説
基準日:2025-12-10。大きな地震のあと、「速報で見た最大震度」と「あとで発表された震度」や「自分の体感」が違うと感じたことはありませんか。これは、速報の情報と確定した震度情報の性質がそもそも違ううえに、地盤・建物・人の感じ方など多くの要素が重なっているためです。
この記事では、地震速報(緊急地震速報・地震情報)と最大震度の仕組み、そして体感との差が生まれる主な理由を整理します。
「地震速報」と「震度情報」はそもそも別物
テレビやスマホの「地震速報」は複数種類あり、それぞれ中身が違います。まずは区別しましょう。
| 情報の種類 | 概要 | いつ出る? |
|---|---|---|
| 緊急地震速報(警報・予報) | P波の観測から、これからどのくらい揺れそうかを予測して出す速報。あくまで「予測震度」。 | 強い揺れが来る数秒~十数秒前。 |
| 地震速報テロップ(震源・マグニチュード) | 地震が起きた後に、震源・規模(マグニチュード)などを速報する情報。 | 発生後おおよそ数十秒~数分。 |
| 震度情報・最大震度 | 全国の観測点のデータから実際に観測された震度をまとめたもの。必要に応じて後から修正も行われる。 | 発生後約1分半~数分、その後詳細版が追加。 |
この章の要点
- 緊急地震速報は「これからの揺れの予測」であり、後から出る震度情報は「実際に観測された揺れ」。
- 速報段階ではデータが少ないため、あとから最大震度が修正されることがある。
- 「速報で見た数字」と「のちの発表」「自分の体感」がズレるのは自然なことだと理解しておく。
最大震度と自分の体感がズレる主な理由
同じ地震でも、「テレビで見た最大震度」と自分の体感が違うのはなぜでしょうか。主な要因を整理します。
| 理由 | 説明 |
|---|---|
| ① 距離・深さの違い | 震源から遠いほど揺れは弱くなり、震源が深いと広く弱い揺れになる傾向がある。 |
| ② 地盤・地質の違い | 柔らかい地盤(埋立地・沖積低地など)は揺れが増幅し、硬い地盤の地域より大きく感じられる。 |
| ③ 建物・階数の違い | 高層ビルはゆっくり大きく揺れ、木造2階建てなどは短くガタガタ揺れやすいなど、構造・階数で体感が変わる。 |
| ④ 姿勢・作業内容 | 歩いている・話しているときより、椅子に座って静かにしているときのほうが揺れに気づきやすい。 |
| ⑤ 人による感じ方の差 | 乗り物酔いしやすい人・普段から揺れに敏感な人は、同じ震度でも強く感じやすい。 |
この章の要点
- 最大震度は「その地震の中で最も強く揺れた地点の指標」であり、自宅の揺れとは限らない。
- 地盤・建物・姿勢などの違いで、同じ震度でも体感は人それぞれ大きく変わる。
- 「たいしたことない揺れだ」と感じても、近くに震度の大きい地域がある可能性がある。
速報値と確定値が違う理由(途中で震度が変更されるケース)
地震直後のニュースで「最大震度5強と速報→のちに6弱に修正」のように変わることがあります。これはミスというより、観測点のデータが出そろうまでに時間差があるためです。
- 気象庁は全国約4,400か所の観測点から加速度データを集め、自動的に震度を計算して公表しています。
- 最初は大まかな地域単位で「最大震度いくつ」と速報し、その後、詳細な観測値・品質チェックを反映して修正する仕組みです。
- 観測点の設置環境が適切でない場合には、後日その地点の震度が取り消され、最大震度が変更されることもあります。
この章の要点
- 速報は限られた情報で出しているため、あとから最大震度が変わるのは想定内の動き。
- 観測点の環境やデータの品質チェックによって、震度値が修正されることもある。
- 速報段階の数字にこだわりすぎず、「強く揺れた地域がある」ことを重視して行動するのが大切。
「体感」に頼りすぎないための行動指針
自分の体感と速報・最大震度に差があっても、行動を遅らせないことが一番重要です。
- 緊急地震速報が鳴ったら、震度の数字より先に「まず身を守る姿勢」(机の下・頭を守る)を取る。
- 揺れのあとに発表される震度情報・津波情報を確認し、必要ならすぐに避難を開始する。
- 「たいした揺れじゃなかったから大丈夫」と自己判断せず、公式情報と避難指示を優先する。
この章の要点
- 体感の強さと被害の大きさは必ずしも一致しない。
- 速報・震度情報は「行動のきっかけ」に使い、細かい数値の違いにはこだわりすぎない。
- 日頃から、防災アプリやTV・ラジオなど複数の情報源を活用できるよう準備しておく。
