坂本花織2025-26プログラム構成となぜ評価が高いのか徹底解説
2025-12-05現在、坂本花織は2025-26シーズンを「現役ラストシーズン」と位置づけ、ミラノ・コルティナ五輪に向けた集大成のプログラムで戦っています。ショートは「Time To Say Goodbye」、フリーはエディット・ピアフの名曲を中心とした「愛の讃歌」メドレーという構成です。この記事では、そのプログラム構成と高評価の理由を、ジャンプ構成・演技構成・ルール面から整理します。
2025-26シーズン 坂本花織のプログラム構成まとめ
国際スケート連盟(ISU)の公式情報によると、2025-26シーズンの坂本花織の音楽・振付は以下の通りです。ショートはサラ・ブライトマン&アンドレア・ボチェッリの「Time To Say Goodbye」、フリーは「La vie en rose」「Hymne à l’amour」「Non, je ne regrette rien」を組み合わせた“愛の讃歌”メドレーで、振付はショートがブノワ・リショー、フリーがマリー=フランス・デュブレイユです。
| 種目 | 使用曲 | 振付師 | 構成のキーワード | 見どころ |
|---|---|---|---|---|
| ショートプログラム | Time To Say Goodbye | ブノワ・リショー | ラストシーズン・別れと旅立ち | 3Lz・2A・3F+3Tを軸にした王道構成と、流れの中で決めるスピード感あるジャンプ。 |
| フリースケーティング | La vie en rose〜Hymne à l’amour〜Non, je ne regrette rien | マリー=フランス・デュブレイユ | フランス音楽・大人のドラマ・物語性 | ステップとスピンでじわじわ盛り上げ、後半にかけて感情が爆発する構成。世界女王3連覇で培ったPCSの強みが光る。 |
坂本はこのプログラム構成で、チャレンジャーシリーズやグランプリシリーズ、NHK杯などで女子フリー今季最高クラスのスコアを連発し、依然としてトップグループの中心にいます。
- 要点:SPは「別れ」をテーマにしたラストシーズンらしい選曲。
- 要点:FSはピアフの名曲メドレーで、物語性と表現力を最大限に引き出す構成。
- 要点:技術構成はこれまでの強みを活かしつつ、PCSでさらに伸びる設計。
ショート「Time To Say Goodbye」が高評価な理由
引退シーズンを象徴する選曲とストーリー
坂本は2025年6月に「今季を最後に引退する」意向を公表し、そのうえで長年温めてきた「Time To Say Goodbye」をショートに選びました。本人はインタビューで「別れというより、次の自分へ進むための曲」と語り、終わりではなく“新しいスタート”としてプログラムを位置づけています。
曲が持つ壮大さと、坂本の力強いスケーティングが噛み合うことで、演技全体に「キャリアの集大成」という説得力が生まれ、PCS(演技構成点)の評価につながっています。
安定したジャンプ構成とGOEの積み上げ
SPの予定ジャンプ構成は3Lz、2A、3F+3Tという“勝ちパターン”。特に得意のルッツと加点のつきやすいフリップコンビネーションで、GOE(出来栄え点)の積み上げが期待できる構成です。
2025-26シーズン序盤の国際大会では、多少のミスがありながらも「基礎点+高いGOE」で他選手をリードする試合が多く、技術点の“安定感”が高評価を支えています。
PCSで抜け出すスケーティングと表現力
坂本の武器は、スピードと深いエッジ、そして曲への入り込み方です。ベテランらしい“間”の使い方や、上半身の表現が年々洗練されており、ラストシーズンの今季は特に「表現の余裕」が目立ちます。
その結果、同じジャンプ構成でもPCSで2〜3点上回り、トータルで大きな差をつけるケースが増えています。
- 要点:選曲とキャリアのストーリーがリンクしてPCSが伸びやすい。
- 要点:王道3本ジャンプ構成+高いGOEで技術点が安定。
- 要点:スケーティングと表現力の成熟でPCSがトップレベルを維持。
フリー「愛の讃歌」メドレーが高評価を集めるポイント
大人のドラマを描く音楽構成
フリーは「La vie en rose」「Hymne à l’amour」「Non, je ne regrette rien」というフランス音楽の名曲をつないだ構成で、恋と人生、そして悔いのない生き方を描く“人生劇場”のようなプログラムになっています。
憧れの鈴木明子が引退シーズンに滑った「愛の讃歌」を自分のラストシーズンに使うことで、女子シングルの歴史ともつながる“系譜”が生まれており、ファン・ジャッジ双方からの注目度が高い点も評価材料です。
体力配分を意識したジャンプ構成
フリーではトリプルルッツやトリプルフリップを複数本組み込んだ、これまで通りの難度の高い構成が採用されていますが、後半のジャンプ数やコンビネーションの位置を工夫することで、ラストシーズンでも最後までスピードを落とさない設計になっているのが特徴です。
ステップやスピンに十分な体力を残すことで、プログラム後半のPCSを落とさずに戦える構成になっている点も、総合点アップにつながっています。
ステップとスピンでPCSを底上げ
坂本はレベルの取りこぼしが少ない選手で、ステップシークエンスやスピンでレベル4を狙えるのが強みです。今季のフリーでも、ステップの中に細かい上半身の動きやカウンターターンが織り込まれており、「愛の讃歌」のドラマを足元から表現する構成になっています。
レベルの高いステップ・スピンにGOEがしっかり乗ることで、ジャンプで多少ミスがあってもトータルスコアを大きく崩さない“保険”になっています。
- 要点:ピアフの名曲メドレーで、物語性のある大人のプログラムに。
- 要点:ジャンプ配置と体力配分を工夫し、最後までスピードを維持。
- 要点:ステップ&スピンで確実にレベルとGOEを取りにいく設計。
ジャンプ以外でも点を稼ぐ「総合力」が評価の源泉
スケーティングスキルの高さ
坂本はもともとエッジワークの評価が高く、世界選手権3連覇の時期から「リンクカバーの広さ」と「スピードの維持」で他選手を圧倒してきました。ラストシーズンの今もその強みは健在で、特にフリーの序盤〜中盤にかけての流れの良さがPCSの土台になっています。
メンタルの安定と“ミスの小ささ”
2025年のシーズン序盤でも、SP・FSともに大崩れが少なく、「転倒しても他要素で取り返す」試合運びが目立ちます。これは長年の大舞台経験と、ラストシーズンを前にした“吹っ切れ感”の表れでもあり、ジャッジの印象評価にもプラスに働いています。
キャリアと物語性がもたらす説得力
世界選手権3連覇、全日本選手権複数回優勝、五輪メダル獲得というキャリアを背負って滑るラストシーズンのプログラムは、単なる“新プロ”ではなく、これまでの歴史を凝縮した作品として受け取られています。その“物語性”がPCS全体の底上げにつながり、「なぜここまで高く評価されるのか」という疑問への答えになっています。
- 要点:スケーティングスキルが高く、PCSの土台が厚い。
- 要点:大崩れしないメンタルと試合運びで、トータルスコアが安定。
- 要点:キャリアと引退シーズンならではの物語性が、演技に説得力を与えている。
坂本花織のラストシーズンをもっと楽しむためにできること
今季はグランプリシリーズ、全日本選手権、世界選手権、そしてミラノ・コルティナ五輪へと、大きな大会が続きます。試合ごとにジャンプ構成や表現の細部がアップデートされていくはずなので、「同じプログラムがどのように進化していくか」を追いかけるのがおすすめです。
公式のリザルトやハイライト動画をチェックして、GOEやPCSの推移を見比べると、採点の裏にある戦略も見えてきます。
