M-1グランプリ2025審査員と吉本興業の関係性:影響はあるのか?
この記事の基準日は2025-12-06です。M-1グランプリは、朝日放送テレビと吉本興業の共同主催で行われており、「審査員の多くが吉本所属だ」「優勝者も吉本が多い」といった指摘は、毎年のように議論になります。
ここでは、大会の仕組みと統計的な分析・評論を踏まえつつ、「吉本との関係性が審査にどこまで影響しているのか」を整理します。
M-1はそもそも吉本とどういう関係なのか
主催構造と制作体制
M-1グランプリの公式サイトによると、大会の主催は「M-1グランプリ事務局(朝日放送テレビ株式会社・吉本興業株式会社 共同主催)」と明記されています。
| 項目 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 主催 | M-1グランプリ事務局(ABCテレビ・吉本興業 共同主催) | 企画段階から吉本が深く関わる構造。 |
| 制作 | 朝日放送テレビ+吉本興業+制作協力会社 | 番組制作にも吉本のスタッフが多数参加。 |
| 出場者の所属 | 吉本・非吉本・アマチュアを問わず出場可 | エントリー条件は「とにかくおもしろい漫才」。事務所は不問。 |
| 審査方式 | プロ審査員+一部観客審査(敗者復活など) | 2025年も敗者復活戦で観客500人による投票を実施。 |
- イベント全体としては吉本が深く関わる“自社イベント”的側面がある。
- 一方で、出場資格は事務所不問で、他事務所やアマチュアにも門戸は開かれている。
- 敗者復活戦では観客審査も組み合わせ、完全な「内輪審査」にはなっていない設計。
「吉本ばかり優勝する」?過去のデータと議論
優勝コンビの所属事務所の偏り
ブログや評論記事では、「歴代王者のうち多くが吉本所属である」という指摘が繰り返しなされています。あるブログでは、初期〜2019年頃までの19大会中、14大会で吉本所属コンビが優勝しているとまとめられています。
もっとも、近年はウエストランド(タイタン)や錦鯉(ソニー)など、非吉本の王者も増えており、「吉本以外は取れない」という状況ではありません。
- 長期的に見ると、優勝コンビは吉本所属が多いのは事実。
- ただし、近年は非吉本の王者も続いており、傾向はやや分散しつつある。
- 優勝回数の偏り=そのまま“贔屓”とは言い切れず、母数(参加組数)も考える必要がある。
審査員の所属と採点の関係を調べた分析
「吉本だから点が高い」とは言えないという統計結果
2010年代後半のある分析記事では、審査員ごとの採点結果を所属事務所別に集計し、「吉本所属だから特別高得点という明確な傾向は見られない」と結論づけています。
その記事では、
- 吉本所属コンビの点数の平均・中央値は確かに高いが、非吉本でも同程度の評価を受けたコンビが多数いる
- そもそもエントリー数自体が吉本所属コンビに偏っているため、結果的に吉本勢が上位に残りやすい
といった点が指摘されています。
- 「吉本だから優遇」というより、「母数が多く、強いコンビも多い」ことが一因という分析。
- 採点の分布を見ると、非吉本コンビにも十分高得点がついている。
- データ上は、事務所名だけで得点の有利不利を断定するのは難しい。
審査員人選に対する批判とバランス調整の試み
「関西出身・吉本所属が多い」という声
審査員に関する代表的な批判として、次のようなものがあります。
- 関西出身者が多く、笑いの基準が“関西寄り”になりがち。
- 吉本所属の審査員が多く、「身内が多い」という印象を与える。
- 若手が少なく、大御所に評価を“預けすぎ”ている。
この点について、2016年の評論では「出身地・所属・年齢のバランスが悪いと、陰謀論的な批判が出やすくなる」とし、東西バランスや事務所バランスを意識したキャスティングの重要性が述べられています。
実際、2024年には吉本以外からもアンタッチャブル柴田さん(人力舎)、ナイツ塙さん(マセキ)、オードリー若林さん(ケイダッシュステージ)、海原ともこさん(松竹)などが起用され、事務所・性別の多様化が意識された布陣になりました。
- 審査員の「吉本だらけ」問題は以前から指摘されてきた。
- ここ数年は非吉本・女性・関東系も取り入れ、バランスを取ろうとする傾向が強まっている。
- 完全な公平を保証することは難しいが、「偏りすぎないようにする努力」は見えてきている。
2025年審査員と吉本の関係をどう見るべきか
公式発表前に押さえておきたい視点
2025年の審査員はまだ公表されていませんが、2024年の流れから考えると、
- 吉本所属の審査員が一定数入るのはほぼ確実
- 同時に、非吉本や女性審査員も含めた「9人のバランス構成」が維持される可能性が高い
と見るのが現実的です。
視聴者としては、
- 審査員の所属比率だけでなく、ファイナリストの所属内訳
- 点数の付き方が、事務所ごとに極端に偏っていないか
- 敗者復活戦などでの観客審査とのズレ
をセットで見ることで、「吉本だから」「非吉本だから」というイメージから一歩踏み込んだ理解ができるはずです。
- 2025年も吉本との関係性は変わらないが、審査員の多様化傾向は続くと考えられる。
- 公平性を判断するには、「審査員の所属」だけでなく「得点分布」や「出場者の所属構成」も見る必要がある。
- 感覚的な「吉本ばかり」論と、データにもとづく分析を分けて捉えることが大切。
