M-1グランプリ2025「審査員不足」と言われる理由を整理する
この記事の基準日は2025-12-06です。この時点で、M-1グランプリ2025決勝の審査員はまだ公式発表がなく、ファンやメディアでは「今年も人選はどうなるのか」「そもそも審査員の人材が足りないのでは」といった声が上がっています。
ここでは、「審査員不足」と言われる背景を、2024年までの審査員構成や評論・ネットの議論を踏まえて分かりやすく整理します。
2024年までの審査員構成と「若返り」路線
まずは直近の2024年決勝で、どのようなメンバーが審査員を務めていたのかをおさらいします。2024年は9人体制で、ほぼ全員が現役で活躍中の芸人でした。
| 審査員 | 所属 | 主な肩書き・立場 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 中川家・礼二 | 吉本興業 | M-1初期からの常連審査員 | 経験最多クラスの「軸」とされる存在。 |
| NON STYLE 石田明 | 吉本興業 | M-1王者・構成力の鬼 | 漫才論・M-1論を語る著書もあり「理論派」枠。 |
| 笑い飯・哲夫 | 吉本興業 | 2000年代からのM-1象徴コンビ | 大会OBとしての目線で評価。 |
| 博多大吉 | 吉本興業 | 漫才師・コメンテーター | テレビ露出が多く「視聴者目線」に近いコメントが特徴。 |
| ナイツ 塙宣之 | マセキ芸能社 | 漫才評論家的ポジション | 「M-1分析本」も出すほどの漫才オタクとして知られる。 |
| かまいたち 山内健司 | 吉本興業 | 現役トップクラスの漫才師 | 2024年に初参加の若手寄り審査員。 |
| オードリー 若林正恭 | ケイダッシュステージ | 漫才師・脚本家・MC | 構成重視のコメントが期待される初参加組。 |
| アンタッチャブル 柴田英嗣 | 人力舎 | ツッコミの名手 | 技術面からの評価が厚いとされる。 |
| 海原ともこ | 松竹芸能 | 女性漫才師 | 唯一の女性審査員として2024年に参加。 |
スポーツ紙などの集計では、2024年審査員の平均年齢はおよそ48歳台で、前年より5歳ほど若返ったと報じられました。
なぜ「審査員不足」と言われるのか:3つの背景
ここ数年、SNSやコラムで「M-1は審査員の人材難だ」「格が下がった」といった表現が使われることがあります。主な背景は大きく3つに整理できます。
| 理由 | 内容 | 代表的な指摘 |
|---|---|---|
| ① 大御所クラスの勇退 | オール巨人、上沼恵美子、立川志らく、山田邦子ら「重鎮組」が相次いで審査員を退いた。代わりに40〜50代中心の現役世代が座るようになった。 | 「重鎮がいなくなってヒリヒリ感が薄れた」「審査員の格が下がった」といった芸能記事・ネット意見。 |
| ② 新しい候補の少なさ | あるコラムでは、ここ数年ほぼ同じ顔ぶれが続いているのは「代えなかった」より「代えられる候補が見つからなかった」側面が大きいと「審査員人材難」を指摘。 | 「代わりに据えられるだけの“説得力のある名前”が思いつかない」という趣旨の評論。 |
| ③ SNS時代の“炎上リスク”の高さ | 審査員の採点・コメントはすぐにSNSで拡散され、批判や炎上の対象になりやすい。ブログやコラムでは「審査員批判形成のプロセス」自体が問題視されている。 | 「お笑いより審査員を審査している」「叩かれ役になりたくない人も多い」といった指摘。 |
こうした事情が重なり、「大御所級の名前は減り、しかも新戦力を入れるハードルが高い」という状況が「審査員不足」という言い方につながっている、と見ることができます。
本当に人材が足りないのか?という視点
一方で、データや評論を読むと、「本当に審査員レベルが下がった」と断言するのも極端だという見方もあります。
- 2024年の9人はいずれも漫才・コント・MCなどで第一線の芸人であり、「お笑いのプロ」であることに疑いはない。
- 吉本以外の事務所や女性漫才師も起用され、出身・事務所の多様化には前向きな変化もある。
- 「審査員は有名であることに意味がある」という、権威づけ・視聴率・出場者の納得感の観点も指摘されている。
つまり、「大御所が減った」という意味での“格”の議論と、実際の審査の質は必ずしもイコールではありません。人材が「いない」のではなく、視聴者が思い描く“理想の審査員像”を満たす人が限られている、というニュアンスが近いと言えます。
2025年の審査員発表を見るときのチェックポイント
2025年の審査員が発表されたら、次の3点を見ておくと、「審査員不足」と言われる文脈が少しクリアに見えてきます。
- 年齢バランス:平均年齢・最年長と最年少の幅はどうか。
- 事務所・バックグラウンド:吉本・非吉本・女性漫才師・落語家などのバランスはどうか。
- 新顔の有無:完全な新任がいるのか、それとも前年とほぼ同じなのか。
このあたりを踏まえて「今年のメンバーで何が変わったのか」を見ると、単に「不足」と言うだけでなく、M-1がどんな大会を目指しているのかも見えやすくなります。
