所得税の増税はいつから?基礎控除改正と防衛増税の対象者・負担額まとめ
基準日:2025-12-06。最近のニュースや税制改正で「所得税が増税される」「防衛のための新しい税が始まる」といった情報が飛び交い、不安を感じている人も多いのではないでしょうか。この記事では、すでに決まっている2025年度(令和7年度)税制改正と、検討中の防衛関連の所得税増税案を分けて整理し、「いつから・誰が・どのくらい」影響を受けるのかをわかりやすく解説します。なお内容は公表資料・報道ベースであり、最終的な制度は今後の法改正や運用で変わる可能性があります。
まず整理:決まっている改正と「検討中の増税」の違い
「所得税 増税」と一括りに語られがちですが、実際には次のように性格が違う制度が並行して議論されています。
| 制度・論点 | 開始時期 | 内容の方向性 | 状況 |
|---|---|---|---|
| ① 基礎控除・給与所得控除などの見直し | 令和7年分所得税から(2025年分) | 基礎控除・給与所得控除の引上げなど、多くの人にとっては「減税寄り」の改正 | 令和7年度税制改正大綱・国税庁特設サイトで公表済み |
| ② 特定親族特別控除の創設 | 同上(令和7年分から) | 大学生世代の子どもを持つ世帯への控除新設 | 同上 |
| ③ 防衛力強化のための「防衛特別所得税」(仮称) | 2027年1月から実施する方向で調整中 | 所得税額に1%を上乗せし、復興特別所得税を1%引き下げつつ課税期間を延長する案 | 政府・与党が「27年1月から」を軸に調整中(2025年12月時点では法案成立前の段階) |
つまり、2025年分の所得税についてはむしろ「基礎控除などが広がる方向」であり、防衛関連の増税は2027年1月から始まる方向で調整されている段階です(今後の国会審議で変更の可能性がある点には注意が必要です)。
この章の要点
- 2025年分の所得税は「基礎控除・給与所得控除の引上げ」など、減税寄りの改正が中心。
- 防衛目的の「防衛特別所得税」は2027年1月開始案で調整中で、2025年時点ではまだ最終決定ではない。
- ニュースで言われる「所得税増税」は、決まっている部分と検討中の部分が混ざって報じられている点に注意が必要。
2025年分からの基礎控除・給与所得控除の見直し
令和7年度税制改正では、物価上昇下での負担調整や「年収の壁」対策として、主に次のような見直しが決まっています。
主なポイント
- 基礎控除の引上げ:合計所得金額2,350万円以下の人について、所得税の基礎控除額を48万円→58万円へ引き上げ。
- 給与所得控除の最低保障額の引上げ:給与所得控除の最低額を55万円→65万円とする方向。
- 大学生年代の子ども向け「特定親族特別控除」の創設:19歳以上23歳未満で一定所得以下の子どもがいる場合、親の所得から控除できる新しい制度。
- これらは令和7年12月1日施行・令和7年分所得税から適用とされており、実務上は2025年分の年末調整・確定申告から影響します。
控除が増えることは、その分課税される所得が減ることを意味するため、多くの給与所得者にとっては「所得税がやや軽くなる方向」の改正と考えられます(高所得者は別途調整が入る可能性があるため、詳細は今後の法令・通達を要確認)。
この章の要点
- 基礎控除・給与所得控除が10万円ずつ引き上げられる方向で決まっている。
- 大学生世代の子どものいる世帯には、新たな「特定親族特別控除」が創設される。
- これらは令和7年分(2025年分)所得税から適用され、ほとんどの人にとっては増税ではなく負担軽減効果が期待される。
2027年から検討されている「防衛特別所得税」とは?
ニュースで大きく取り上げられているのが、防衛力強化の財源として検討されている新しい所得税の上乗せです。報道では、次のような枠組みが示されています(あくまで2025年12月時点の案であり、今後の国会審議で変わる可能性があります)。
案として報じられている内容
- 名称(仮称):防衛特別所得税
- 開始時期:2027年1月から実施する方向で政府・与党が調整中。
- 税率:現行の所得税額に対して1%を上乗せする案(所得税額×1%が追加で課税)。
- 復興特別所得税との関係:復興特別所得税の税率を1%引き下げる一方で、課税期間を延長することで、長期的には負担増になる構造が報じられています。
対象は、原則として所得税の納税者全体(一定の所得がある人)と想定されており、特定の職業だけにかかる税ではありません。ただし、最終的な制度設計は今後の閣議決定・法律改正で確定します。
この章の要点
- 防衛特別所得税は「所得税額に1%を上乗せする」構想で、2027年1月からの実施が検討されている。
- 復興特別所得税は税率を下げつつ課税期間を延長する案で、トータルでは国民負担が増える方向と報じられている。
- あくまで「案」であり、最終的な内容は今後の法律・政令で確定するため、最新情報の確認が必要。
どれくらい負担が増える?ざっくりシミュレーション
防衛特別所得税は「所得税額の1%」とされているため、負担額は人によって大きく変わります。ここではあくまでイメージを掴むための簡易シミュレーションを紹介します(実際の税額は控除や所得階層によって変動するため、詳細は税務署や専門家に要確認)。
| 年間の所得税額(現行) | 防衛特別所得税(1%) | 年間の追加負担の目安 |
|---|---|---|
| 10万円 | 10万円 × 1% | 1,000円 |
| 20万円 | 20万円 × 1% | 2,000円 |
| 50万円 | 50万円 × 1% | 5,000円 |
| 100万円 | 100万円 × 1% | 10,000円 |
例えば、年間の所得税額が20万円の人であれば、1%は2,000円となり、1年あたり2,000円前後の負担増というイメージです。なお、実際には復興特別所得税の引き下げ分や住民税とのバランスもあるため、トータル負担はもう少し複雑になります。
この章の要点
- 防衛特別所得税の負担額は「その人の所得税額×1%」というシンプルな構造になる見込み。
- 年間の所得税額が10万円なら約1,000円、20万円なら約2,000円の負担増というイメージ。
- 復興特別所得税の引き下げ・期間延長とのセットで考える必要があり、正確な影響は今後の制度確定を待つ必要がある。
自分は対象?今やっておきたいチェックポイント
最後に、「自分はどこに当てはまりそうか」を確認するためのチェックポイントをまとめます。
| 項目 | 確認ポイント | メモ |
|---|---|---|
| 2025年分の所得税 | 給与所得控除・基礎控除の拡大で税額がどう変わるか | 年収や扶養状況で変わるため、勤務先の年末調整資料や国税庁サイトを確認。 |
| 家族構成 | 19〜23歳の子どもがいるか/収入要件を満たすか | 特定親族特別控除の対象になるかどうかで、控除額が変わる。 |
| 防衛特別所得税 | 2027年以降も継続して所得税を支払う見込みか | 給与所得者・自営業者など、課税所得がある人は原則対象になると想定される。 |
| 備え方 | 家計の固定費見直しや、iDeCo・NISAなどの制度活用 | 同じ税制改正で確定拠出年金の拠出限度額引上げなども予定されているため、長期の資産形成も検討材料。 |
この章の要点
- まずは2025年分の年末調整・確定申告で、自分の控除額と税額がどう変わるかを確認することが重要。
- 防衛特別所得税は2027年以降に本格的な影響が出る見込みで、今から家計の「余白」を作っておくと安心。
- 制度は今後も変わる可能性があるため、国税庁や信頼できる専門家の最新情報をチェックし続けることが大切。
