2025年版 インフルエンザ予防接種の効果と予約開始時期ガイド
基準日:2025-12-06。2025-26シーズンのインフルエンザは、日本でもすでに本格的な流行期に入っており、ワクチン接種の重要性があらためて注目されています。今シーズンから日本のインフルエンザワクチンは「3価ワクチン」に移行し、新しい株構成での接種が始まりました。この記事では、2025-26シーズンのワクチン効果の考え方と、予約開始時期・ベストな接種タイミングを整理して解説します。
2025-26シーズンのインフルエンザワクチン概要
今シーズンから「3価ワクチン」に移行
世界的にB型インフルエンザ(山形系統)がほとんど検出されなくなったことを受け、WHOは4価ではなく3価ワクチンの使用を推奨し、日本でも2025-26シーズンから3価ワクチンへの変更が正式決定されました。
2025-26シーズンの日本のワクチン株は、感染症学会・国立感染症研究所の資料によると、以下の3株が採用されています。
| 型 | ワクチン株名 | 備考 |
|---|---|---|
| A型(H1N1) | A/ビクトリア/4897/2022(IVR-238) | 近年流行しているH1N1pdm09系統に対応 |
| A型(H3N2) | A/パース/722/2024(IVR-262) | 2024-25シーズン以降に増えているH3N2系統 |
| B型(ビクトリア系統) | B/オーストリア/1359417/2021(BVR-26) | B型はビクトリア系統のみをカバー |
今シーズンは国内外で流行しているウイルスとワクチン株の抗原性の一致が良く、「例年同等以上の予防効果が期待できる」と評価されています(最終的な有効性はシーズン終了後の解析で確定)。
この章の要点
- 2025-26シーズンから日本の季節性インフルエンザワクチンは3価(A2株+B1株)に変更された。
- 採用株はA/H1N1・A/H3N2・B(ビクトリア系統)の3種類で、現在の主流株をカバーする構成になっている。
- 抗原性の一致は良好とされ、予防効果も例年並み以上が期待されるが、最終評価はシーズン後に行われる。
2025-26シーズンのワクチン効果の目安
発症予防効果と重症化予防効果
直近シーズン(2023-24/2024-25)のデータから、インフルエンザワクチンの効果はおおむね次のように報告されています。
| 対象 | 発症予防効果の目安 | 重症化・死亡予防効果の目安 |
|---|---|---|
| 小児(2〜17歳) | 約60〜70%程度の発症予防効果(2023-24シーズンの海外・日本データ) | 入院・重症化リスクを有意に減少(日本・海外の複数研究) |
| 成人(18〜64歳) | 約30〜60%程度の発症予防効果 | ICU入室リスク約20〜30%減、死亡リスク約30%減とする報告あり |
| 高齢者(65歳以上) | 約40〜60%程度の発症予防効果(施設内研究では34〜55%) | 死亡リスクを約80%抑制した日本の研究報告もある |
ワクチンは「かかる人がゼロになる」魔法の注射ではありませんが、特に高齢者や基礎疾患のある人では、重症化や死亡のリスクを大きく下げることが複数の研究で示されています。
効果が出るまでの時間と持続期間
- 接種してから効果が十分に出るまで約2週間かかる。
- 多くの研究では3〜5か月程度は一定の効果が持続するとされるが、時間の経過とともに発症予防効果は徐々に低下する。
- 特に高齢者では免疫の落ち方が早い可能性があり、「流行期の前〜立ち上がり」に合わせた接種が重要になる。
この章の要点
- ワクチンは感染を完全に防ぐものではないが、発症リスクを約30〜70%、重症化リスクをさらに大きく下げることが期待される。
- 接種から効果発現までは約2週間、効果は3〜5か月程度持続するとされる。
- 特に高齢者・基礎疾患のある人・妊婦・医療従事者などは、重症化予防の観点から接種の優先度が高い。
2025年の予約開始時期と接種のベストタイミング
典型的な予約・接種スケジュール
医療機関によって詳細は異なりますが、2025年シーズンの案内を複数見ると、概ね次のようなスケジュール感になっています。
| 時期 | 医療機関等の動き(例) | 一般の人がやっておきたいこと |
|---|---|---|
| 9月中旬〜下旬 | ・病院がシーズン接種のお知らせを公開 ・予約開始日を発表(例:9月22日9:00〜など) | ・かかりつけ医や自治体のサイトで予約開始日をチェック ・家族の予定を確認し、予約枠が埋まる前に申し込む |
| 10月上旬〜12月上旬 | ・多くの医療機関で接種開始(例:10月1日〜) ・企業健保などの補助制度も10月1日〜1月末接種分を対象とするケースが多い | ・ピーク前に免疫をつけるため、できれば11月上旬までに接種 ・子どもの2回接種は4週間以上の間隔を意識してスケジュールを組む |
| 12月中旬〜翌年1月末 | ・流行ピーク(12〜3月)に重なる時期 ・在庫状況によっては予約停止になる医療機関も | ・まだ打っていない場合でも、流行が続いている間は接種する価値あり ・在庫・予約枠を電話やWebで確認 |
実際の例として、首都圏の病院では2025年9月22日から予約を開始し、10月1日〜12月24日に小児接種、同じく10〜12月に一般外来での接種を行うと案内しています。また、企業健康保険組合では2025年10月1日〜2026年1月31日接種分を補助対象とするケースも見られます。
ベストな接種タイミングの目安
日本では例年、インフルエンザの流行ピークは12月〜3月とされており、ワクチンの効果発現までの期間を考えると、10月〜11月上旬の接種が理想的とされています。
- 流行の立ち上がりに間に合わせたい → 10月中〜下旬までに接種。
- ピーク(1〜2月)を意識 → 11月上旬までに接種しておくと安心。
- すでに流行が始まっている状況で打ち忘れに気づいた → 流行が続いている限り、年明け以降でも接種に意義ありとされています。
この章の要点
- 多くの医療機関で「9月下旬に予約開始」「10月1日ごろから接種開始」という流れになっている。
- 流行ピークを考えると、10〜11月上旬の接種が理想的で、年明け以降も流行が続いていれば接種価値は残る。
- 医療機関ごとに予約開始日・在庫状況が異なるため、必ずかかりつけ医や自治体の最新情報を確認することが重要。
対象者別・接種の考え方
子ども(6か月〜中学生)
- 13歳未満は原則2回接種(4週間以上あける)とする医療機関が多い。
- 2回目を年内に打ち終えるには、遅くとも11月上旬までに1回目を済ませたい。
- 一部医療機関では経鼻ワクチン(フルミスト)も選択肢になっており、接種回数や対象年齢が異なるため要確認。
成人・働き世代
- 持病がない場合でも、職場や家庭内での二次感染を防ぐ観点から接種が推奨される。
- 企業健保の補助がある場合は、補助対象期間内(多くは10〜1月末)に接種すると自己負担が軽くなる。
- 妊婦・基礎疾患のある人は、主治医と相談のうえ、流行前の早めの接種が望ましい。
高齢者・基礎疾患のある人
- 重症化リスクが高く、ワクチンによる入院・死亡予防効果が特に大きい層とされる。
- 自治体による高齢者向け公費助成がある場合が多いので、対象年齢・自己負担額を自治体サイトで確認する。
- 流行の立ち上がりに間に合わせるため、できれば10月中〜11月上旬までの接種が推奨される。
この章の要点
- 子どもは2回接種が前提になることが多く、1回目を早めに打つスケジュール調整が重要。
- 働き世代は自分の発症予防だけでなく、家庭・職場への持ち込みリスクを下げる意味でも接種が役立つ。
- 高齢者・基礎疾患のある人は、重症化予防効果が大きく、公費助成も利用しながら早めの接種を検討する価値が高い。
まとめ:2025年インフルエンザ予防接種の実践チェックリスト
接種前に確認したいポイント
- 居住地域・かかりつけ医の予約開始日・接種開始日を確認したか。
- 家族(特に子ども)の学校行事や受験予定を踏まえて、接種スケジュールを組んだか。
- 基礎疾患がある場合、主治医と接種のタイミングや可否を相談したか。
2025-26シーズンは、ワクチン株と流行株のマッチングが良好とされる一方、国内の流行状況はすでに警報レベルに達している地域もあり、「接種するかどうか」よりも「いつ・どこで打つか」を早めに決めて行動することが重要です。
