NAHAマラソン2025のリタイア率データ分析|過去3年との比較で見える傾向
基準日:2025-12-08。第39回NAHAマラソン2025では、完走率が70.45%と発表されました。出走者2万3859人のうち1万6808人がゴールしており、差し引き約7051人、割合にして約29.6%がリタイア・関門収容となった計算です。本記事では、2022〜2025年の完走率データをもとにリタイア率の推移を整理し、その背景要因を読み解きます。
2025年NAHAマラソンのリタイア率(概算)
まずは2025年大会単体のデータから、リタイア率のイメージを掴んでおきましょう。リタイア率は「出走者数−完走者数」を出走者数で割り、パーセンテージにしたものです。
| 項目 | 人数 | 割合 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 出走者数 | 23,859人 | 100% | スタートに立ったランナー |
| 完走者数 | 16,808人 | 70.45% | 大会発表の完走率に基づく |
| リタイア・関門収容等 | 約7,051人 | 約29.55% | 出走−完走から算出した概算値 |
公式には「完走者数」と「完走率」が中心的に公表されるため、「リタイア率」はあくまで計算上の目安となります。ただし、完走率の推移を見ることで、各年のコンディションや参加者層の違いをおおまかに把握することができます。
要点
- 2025年の完走率は70.45%で、約3割がリタイア・関門収容になった計算。
- リタイア率は「100%−完走率」で近似できるが、公式な棄権人数とは必ずしも一致しない。
- 単年の数字だけでなく、複数年の推移を見ることで傾向が見えやすくなる。
2022〜2025年の完走率・リタイア率の推移
ここでは、公表されている完走率から逆算した「リタイア率(概算)」をまとめます。いずれも大会発表・報道ベースの数値であり、小数第2位以降は四捨五入しています。
| 大会 | 開催日 | 出走者数 | 完走者数 | 完走率 | リタイア率(概算) |
|---|---|---|---|---|---|
| 第39回(2025年) | 2025-12-07 | 23,859人 | 16,808人 | 70.45% | 約29.55% |
| 第38回(2024年) | 2024-12-01 | 21,438人 | 14,067人 | 65.62% | 約34.38% |
| 第37回(2023年) | 2023-12-03 | 18,874人 | 13,692人 | 72.54% | 約27.46% |
| 第36回(2022年) | 2022-12-04 | 11,933人 | 8,076人 | 67.68% | 約32.32% |
この4年分をならして見ると、完走率はおおよそ「65〜73%」の範囲で推移しており、リタイア率は「約27〜35%」程度の幅があります。参加者数が増えても完走率は必ずしも下がるわけではなく、天候要因やランナーの準備状況が大きく影響していると考えられます。
要点
- 2023年は完走率72.54%と高く、リタイア率が最も低かった年のひとつ。
- 2024年は完走率65.62%と低めで、約3人に1人が完走できなかった計算。
- 2025年は2024年より完走率が改善しつつも、依然として約3割がリタイアしている。
リタイア率に影響した要因:天候・気温・湿度・風
完走率・リタイア率の変動には、天候条件が大きく関わります。2025年大会のコンディションを中心に、近年の傾向を整理します。
- 2025年: 那覇の最高気温は約24℃、天気は晴れ時々曇で日差しの強い時間帯もありました。湿度も高く、走っていると「冬のレース」というより「初夏に近い体感」で、暑さによる消耗が大きい条件でした。
- 2024年: 最高気温が25℃前後まで上がり、晴れ間が多く暑さが厳しい年でした。完走率は65.62%と低めで、暑さがリタイア率上昇の主要因とみられます。
- 2023年: 気温22℃前後・曇りがちの「走りやすい」条件で、完走率は72.54%と高水準。涼しいコンディションが完走率を押し上げたと考えられます。
2025年は事前の天気予報でも「今年も暑く、後半は横風が強まる見込み」とされており、特に25km以降の横風はペース維持に影響を与えた可能性があります。気温・湿度・風向きの組み合わせは、リタイア率を考える際に欠かせない視点です。
要点
- 気温が高く日差しが強い年ほど、完走率が下がりリタイア率が上がる傾向がある。
- 2023年のような涼しく曇りがちな条件では、完走率が大きく改善する。
- 2025年は「暑さ+横風」という条件で、数字以上に体感負荷の高いレースだった可能性がある。
リタイア率から見える「ランナー側の課題」
リタイア率は天候だけでなく、ランナー側の準備状況も反映しています。公開されているデータには年齢・性別・ブロック別のリタイア率までは含まれていないため、ここでは一般的な傾向として整理します。
- 初フル・久々のフルの割合: コロナ禍明け後の2022年は、ブランク明けのランナーが多く、ペース配分の失敗や後半のスタミナ切れがリタイア率上昇につながったと考えられます。
- 暑さへの適応度: 本土の涼しい秋冬に合わせた練習が中心で、沖縄特有の暑さ・湿度に慣れていないと、同じペースでも消耗度が大きくなります。
- 補給戦略の成熟度: 近年はジェルや電解質ドリンクの重要性が知られていますが、「使い慣れていない補給」「練習で試していない補給」を本番で初めて使い、胃腸トラブルからリタイアするケースも見られます。
完走率が高かった2023年と比べると、2024・2025年は暑さへの準備不足や、コース攻略の経験差がリタイア率に表れている可能性があります。個々のランナーにとっては、「自分が走った年の完走率」を参考にしつつ、自身の練習内容やレース展開を振り返ることが重要です。
要点
- リタイア率は天候だけでなく、初フル・ブランク明けランナーの割合にも影響される。
- 暑さに対する事前準備の有無が、同じ条件でも完走率の差となって表れる。
- 補給戦略の成否もリタイア率に直結するため、練習段階からテストしておく必要がある。
データを次のレースに活かすためのポイント
最後に、NAHAマラソンの完走率・リタイア率データを「自分ごと」に落とし込むための活用方法をまとめます。
- 走った年の完走率を記録する: 自分の結果(完走/DNF・タイム)と、その年の完走率をセットでメモしておくと、コンディションの違いを加味した振り返りができます。
- 暑い年に完走できた要因を分析: 条件が厳しい年ほど、そのときの練習内容や補給方法を詳しく記録しておくと、今後のレース戦略のヒントになります。
- クラブ・チーム単位での完走率を出す: 自分たちのグループの完走率・PB更新率を出し、チーム全体で改善策を考えることで、モチベーションアップにもつながります。
数字はあくまで「物差し」ですが、使い方次第で来年の目標設定やトレーニング計画に直結する、有効なツールになります。
要点
- 「大会全体の完走率」と「自分の結果」をセットで記録すると振り返りやすい。
- 厳しい条件の年ほど、完走できた経験の価値は大きく、今後の戦略づくりの参考になる。
- データをチームで共有し、完走率・PB率を高める取り組みを行うのもおすすめ。
